学校一の運動オンチだった私が、元オリンピック選手に同感すること

1993年から海外に住んでいる私は、2001年と2005年に世界陸上選手権大会の400mハードルで銅メダルを獲得された為末 大(ためすえ だい)さんのことを、テレビではなく、ツイッターで知りました。しかも、最近のことです。

私がフォローしている方たちが、為末さん(@daijapan )のツイートをよくRT(リツイート)されていて、とても頷けることが多かったのでフォローしてときどき読ませていただくようになりました。


為末さんと私とには、ちょっと見たところ、なんの共通点もありません。
彼は日本記録を保持する世界的アスリートですし、私は小学校で一番の運動オンチでした。50メートル走で自分で自分の足を蹴って顔面で着地したという経験もあります。
また、私には競争心が欠如しているので、それをモチベーションにして努力することができません。
男性と女性という差もありますし、年齢差もあります。
経歴もまったく違います。

ですが、為末さんの本を読んでみたところ、私が人生で感じてきたことがたくさん書いてあるのです。

歩んできた道が異なるのに、なぜか同じような結論を出しているというのは、とても興味深いことです。

ということは、男女差や、年齢や、生まれ育った背景にかかわらず、誰にも役立つ考え方ではないでしょうか。

 

ということで、私が読んだ三冊をご紹介します。

 

1.諦める力

 

為末さんは、アスリートとしての自分の感覚から「諦める」ということについて書かれています。けれども、読者はそれぞれ、自分が一生懸命やってきたことに当てはめればいいと思います。

たとえば、私の場合には「小説家」として挫折した体験、私の娘の場合には「競泳選手」としての体験です。「諦める」というのはネガティブに聞こえますが、ひとつの扉を閉じて、次の扉を開くようなものなのです。素晴らしい未知の世界への扉はたくさんあるのに、諦められないために、それを逃している人がいるのは残念なことです。

つい噴き出したのは、人がよくする「おまえのためを思って」というアドバイスに対する為末さんの意見です。私が以前書いたこととほぼまったく同じだったのです。同じ章で、「世の中というものが不平等で、不条理だということが受け入れられない」という人について書かれていますが、これは、アポロ宇宙飛行士のアラン・ビーンさんが私に語ってくれたのとまったくといってよいほど同じことでした。

「ベストな選択」ではなく「ベターな選択」をする、というところなど、本当に頷くことが多い本でした。

 

2.「遊ぶ」が勝ち

 

為末さんは、『ホモ・ルーデンス』という本に出会い、陸上に対する考え方や挑み方を変えられました。『ホモ・ルーデンス』とは、為末さんの本から引用すると「ドイツ人の歴史・文化史家、ヨハン。ホイジンガ」が書いた本であり、「人間そのものについての本だ。もう少し言えば、『遊び』というものを哲学的に考察した本」ということです。

私はこのブログでも、「洋書ファンクラブ」のほうでも、「遊び」の大切さについて何度も語ってきました。そして、遊びとは怠けることではなく、情熱にかられて自発的に努力することなのだとも。

そうしたら、195ページにこんなにぴったりの表現がありました。
「遊びは決してふざけることではなく、むしろ我を忘れて何かに熱中することだと僕は思っている」
本当にそうですね。

 

3.負けを生かす技術

 

私自身はとても凡庸ですが、機会に恵まれて素晴らしい達成をした人と会う機会がよくあります。そういった人たちに共通するのが「負けや失敗を怖れない」ということです。そして立ち直りも早い。

本書で為末さんが説明されているのは、そういった「成功者」の思考回路です。これを読むだけでなく、自然とそう思えるようになったら、ずいぶん生き方が変わると思います。

そのうえで、第8章 「小さな『幸せ』をこそ求めよ」を読むべきだと思うのです。というのは、「小さな幸せ」とは誤解されやすい言葉だからです。「小さな幸せ」を目指すなんてつまらなく感じるかもしれませんが、実は、これは究極の目標に近いものなのです。

そして、忘れがちだけれども重要なのが為末さんも書いておられるように、「自分と向き合う」という作業です。以前ひとり遊びの大切さについても書きましたが、忙しくてもこういう時間を取ると、小さな幸せを感じることができるようになったりします。

 

 

2 thoughts on “学校一の運動オンチだった私が、元オリンピック選手に同感すること

  1. とても共感できる意見がたくさんありました。
    機会に恵まれて素晴らしい達成をした人は「負けや失敗を怖れない」と。
    僕なんか、まだまだですけど。
    自分の過去の経験を振り返ってみると、以外に「あーそうだったかも」と思えました。
    負けや失敗を恐れるというより、むしろ「新しいことにチャレンジする、ワクワク」しか、その時って頭になかったりするんですよね。
    まさに
    「・・・我を忘れて何かに熱中・・」になってたのかなーと。
    子供心を持って、色々なことに興味をもって、純粋に飛び込んでみる、チャレンジしてみると、新しい扉って開くのかもしれないですね。
    何だか、僕の感想は3→2→1になってしまいましたが。

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  2. Mosさま
    コメントいただいていたのに、見逃していて申し訳ありませんでした。
    そうですね。他人にどう思われるかより、自分が夢中になれることを探すのが一番ですよね。
    失敗も積み重ねると、上手になっていきますし(^^)

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