米国初の女性大統領をあきらめる時が近づいている?

080321richardsonhmed10asmall米国で唯一のヒスパニック系の知事であるニューメキシコ州のビル・リチャードソンが、オバマ支持を表明しました。
リチャードソンはクリントン夫妻と個人的にも親しいことで知られており、これがクリントン陣営に打撃を与えたことは明らかです。

ビル・リチャードソンは、オバマ支持の理由を「この国を団結させることができる大統領」になれるからだと説明しています。
ヒラリー・クリントンとバラック・オバマの選挙戦のトーンがネガティブなものになってゆくにつれ、どちらが候補になっても11月の総選挙の際にネガティブなイメージが定着してまい、共和党に負けるのではないかという恐れが強くなってきています。
共和党のマッケイン候補は、クリントン候補とオバマ候補が民主党候補指名選を戦っている間に、海外諸国を訪問して「大統領らしいイメージ」を広めています。

11月の総選挙に民主党が勝つためには、指名選を長引かせずに、クリントン候補が身を引き、「オバマ大統領、クリントン副大統領」のチケットを確立してほしい、と願う民主党員が増えています。近いうちに、リチャードソン知事のような民主党のスーパー代議員がオバマ支持を表明して決着をつけてしまう可能性があると私は予想しています。
たぶん、それは4月22日のペンシルベニア州の予備選の結果を待ってからのことだと思います。そこでオバマ候補が白人票を多数取ることができれば、これまで支持を表明していないスーパー代議員がオバマ支持を表明することでしょう。なぜペンシルバニア州がこれほど大切かというと、この州はフロリダ州やオハイオ州のようにどちらの党の候補にも動く可能性があり、それが最終的な結果を左右する可能性があるからです。(たとえばマサチューセッツ州では民主党が圧倒的に強いために、共和党候補が勝つ可能性はほぼゼロ。ユタ州は住民の73%が共和党なので民主党候補が勝つ可能性はほぼゼロ)
しかし、ここでクリントンが圧勝したら、8月25日の党大会まで決まらない可能性もあります。

今のアメリカ合衆国が必要とする真のリーダー

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最近になって、大統領候補のバラック・オバマ氏の宗教的指導者であり、家族同様に親しくしているシカゴの有名なブラックチャーチ(信者のほとんどが黒人の教会)Trinity United Church of Christのライト元牧師が過去に行った説教が問題化しました。
問題になったのは、以下の部分です。(MSNBCより抜粋)
“Barack knows what it means, living in a country and a culture that is controlled by rich white people,”  “Hillary can never know that. Hillary ain’t never been called a [二ガー]!”(バラックは、金持ちの白人にコントロールされた国と文化で生きることの意味を知っている。ヒラリーにそれを実感することはできない。ヒラリーは「二ガー(黒んぼ)」と呼ばれたことなんかないのだ)

(写真は、バラック・オバマ候補。MSNBCより)

“We bombed Hiroshima, we bombed Nagasaki, and we nuked far more than the thousands in New York, and we never batted an eye,”  “We have supported state terrorism against the Palestinians and black South Africans, and now we are indignant because the stuff we have done overseas is brought right back in our own front yards.”(我々は広島に原爆を落とし、長崎に原爆を落とし、ニューヨークよりも何千人も多くの人々を原爆死させたが、平然としていた。パレスチナ人や南アフリカの黒人に対する国家のテロを援助した。外国で我々がやってきたことが、今になってこの国に戻ってきたからといって、憤慨している)

日本人ならば「ごもっとも」と同感しそうな説教ですが、愛国心を最も重んじるアメリカ国民にとって、ニューヨークの同時テロがアメリカの自業自得だというのは非常に問題発言なのです。個人的に親しい黒人牧師の極端な白人逆差別発言と非愛国者的発言は、オバマ氏にとって致命的になるかもしれない、と見られていました。

しかし、オバマ候補は、今日演説で、ライト牧師のこれらの説教は強く否定するが、彼の人となりを尊敬しており、縁を切ることはしないと毅然とした態度で語りました。自分を育てるために尽力してくれ、非常に愛している白人の祖母が黒人に対する恐怖を口にしたり、人種差別的な発言をしたことをあげて、たとえすべての意見に賛成することができなくても、彼らは自分の一部であり、アメリカの一部だと説明しました。
すべての演説はこちら。スピーチライターを使わずに、自分自身で書いたものだということです。

この演説は、彼が日頃語っている「自分とは異なる思想・理念を持った人々とも協力してゆける」という長所を引き出すものでした。この演説により、オバマ候補は潜在的に政治生命を失いかねない苦境を脱出しただけでなく、彼を知らなかった人々にも「大統領になるだけの知性と理性を兼ね備えた人物」という印象を与えることになったと思います。

先見の明はなかなか評価されない

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リチャード・ゲッパート元民主党下院院内総務
ソースhttp://www.gephardtandassociates.com/pages/team.html

昨日、講演のためにフロリダ州を訪れていた夫から電話があり、いきなり「今日レストランで昼食をとっているとき、偶然誰が隣に座ってたと思う?当ててごら
ん」という謎々。出張が多い家族の一員の名を上げたら、「絶対に思いつかないと思う」と言うものですから、「それなら最初から尋ねないで名前を言った
ら?」と返しました。
その人物は「ディック・ゲッパート」。

覚えていらっしゃいますか?2004年の民主党大統領候補指名選挙で候補だったリチャード・ゲッパートです。
2004年の選挙戦で、彼は北米自由貿易協定(NAFTA)への反対、という当時ではあまり人気がない政策を強く支持していました。
そして、NAFTAのせいでアメリカ国民が職を失った、というイメージが強くなった今でも「ディックには先見の明があった」という意見は耳にしません。

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ハワード・ディーン民主党全国委員長
ソースhttp://commons.wikimedia.org/wiki/Image:HowardDeanDNC.jpg

さて、2004年の選挙でイラク戦争に激しく反対していたのが、元ヴァーモント州知事のハワード・ディーンです。 
「イラク戦争で、イスラム教のテロリストはかえって増加するであろう」といった彼の予言の数々はは(残念なことに)すべて的中してしまいましたが、それでも彼をあざ笑ったメディアは「彼には先見の明があった」と謝罪することはありません。

私がこの2人を尊敬するのは、自分の政治生命にとって賢明ではないが正しいと信じることを言い続けたことです。これが「潔さ」というものなのだと思います。

今年の予備選で、私が住むマサチューセッツ州の民主党の過半数はクリントン候補を選びましたが、私が住む町は圧倒的にオバマ候補支持に傾きました。これらは、2004年のハワード・ディーン支持者とほぼ重なります。今回どこが異なるか、というと、オバマ候補が、理想主義者の若者の熱狂的な支持を得つつ、民主党の古株の神経を逆なですることもなく、自分とは異なる立場の人と手を組むことができる、という点です。ディーンに欠けていた駆け引きができるオバマは、それだけでも「大統領として必要な政治的手腕がある」と評価されるべきでしょう。でも、ディーンが彼の基盤を作ったことを私たちは忘れてはならないと思うのです。

さて、ゲッパートは、現在経済アドバイザーとしてクリントン陣営を援助しています。また、スーパー代表議員(Super delegates)として、クリントン候補への投票も明らかにしています。

差別の複雑さ


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アメリカ初の女性副大統領候補であったジェラルディン・フェラーロ(Geraldine Ferraro)元下院議員のオバマ氏に関する発言が問題化し、彼女はヒラリー・クリントン陣営の財政委員会の委員を辞任しました。(写真はフェラーロ元下院議員/パブリックドメインのイメージ)

彼女の発言をそのままここに引用しましょう。

“If Obama was a white man, he would not be in this position. And if he was a woman (of any color) he would not be in this position. He happens to be very lucky to be who he is. And the country is caught up in the concept.”
「(オバマが白人男性であったなら、今の立場にはなかっただろう。もし、彼が人種にはかかわらず女性であったならば、今の立場にはなかっただろう。たまたま、彼の背景《父が黒人で母が白人であるということ》が非常に幸運なことであり、この国はそのコンセプトに夢中になっているのである)」

この部分の発言だけが注目されていますが、ここに至る前に彼女はメディアのヒラリーに対する過剰に厳しい批判とオバマ氏に対する甘さを次のように苦々しく語っています。

"I think what America feels about a woman becoming president takes a very secondary place to Obama's campaign – to a kind of campaign that it would be hard for anyone to run against," she said. "For one thing, you have the press, which has been uniquely hard on her. It's been a very sexist media. Some just don't like her. The others have gotten caught up in the Obama campaign.

彼女が正しいか、正しくないか、は別として、政治的に賢い対応は、候補者を守るために「自分が間違っていなくても謝ってしまい、辞任する」というものです。しかし、フェラーロ元下院議員は自分の発言が「黒人差別」であるという非難を完全に否定し、謝罪をしませんでした。女性差別の深さの指摘と、国とメディアがオバマキャンペーンのコンセプトだけに浮かれて応援し、ヒラリーを根拠なく攻撃しているという批判が故意にねじ曲げられており、自分が間違ったこと言っていない以上謝罪することも間違っているという彼女の強い信念によるものです。

ヒラリー・クリントン氏は、これで非常に難しい立場に立たされました。フェラーロ元下院議員は彼女にとって財政委員のメンバーというだけでなく、個人的に尊敬する親しい間柄です。しかし、ここで彼女をかばうのは致命的です。公的に「私は彼女の発言には賛成できない」という中途半端なコメントをするしかなかったのには、こんな背景があります。
しかし、舞台裏で2人が話し合ったのは間違いありません。昨日、フェラーロ元下院議員は財政委員会のメンバーを辞任しました。

さて、興味深いのは一般人の心境です。
今朝のCNNのQuick Vote(オンラインでの意識調査)の「フェラーロ元下院議員は謝罪するべきだと思うか」という質問に対して、54%が「NO」と答えているのは非常に興味ぶかい結果だと私は思いました。というのは、ブッシュ大統領や戦争に関する質問の結果は通常8割程度リベラルに傾くからです。ということは、リベラルの中でもフェラーロ元下院議員に賛成する者が多いということです。

差別をコンセプトとして理解するのと、実感するのは大きく異なります。
祖父が奴隷だったという知人の黒人男性にとっての人種差別と、宗教的にもアメリカ合衆国のマジョリティに属する裕福な中流階級で育った白人男性である私の夫が感じる人種差別は、まったく異なります。
私が会った何人かの白人は、法が強要するがために、職場で他の人種よりも能力が低い黒人を雇わなければならなかった経験を苦々しく語りました。有名大学は、黒人とヒスパニック系アメリカ人の数を増やすために、白人やアジア人よりも学力の低い者を受け入れます。これらの現実を「逆差別」だと感じている者も、アメリカ合衆国には多く存在するのです。しかし、ハーバード大学やイエール大学で学んだ黒人は、周囲の学生から「おまえは黒人だから入学できたのだ」とみなされ、対等に扱われなかった体験を語ります。
女性であるがために”男性の領域”で多くの障壁と戦ってこなければならなかったフェラーロ元下院議員にとっては、女性差別のほうが人種差別よりも強く感じたのではないかと私は思うのです。

差別というのは、その人がこれまで生きてきた歴史により非常に異なるものだということを、日本人はなかなか理解できないと思います。
ちび黒サンボやカルピスのシンボルについての日本での反対運動には、私は苦笑しか覚えませんでした。差別されている者は誰なのか、運動が成功して解放されるのは誰なのか、どのような差別意識が解消されるのか、それらを彼らは認識していたのでしょうか?
私はこう思いました。日本には日本にしかない特別な差別があり、もし運動に力を注ぐのであれば、それをまず解決すべきなのです。

さてこちらの人々が言いたくて言い出しにくい傾向があります。
それは、最近の選挙結果(黒人投票者の9割がオバマ氏に投票している)に対し、白人の間に一種の不安感といらだちが生じているということです。黒人が権力を握る、ということに対する白人優先主義者の不安は明らかですが、それ以外にも、候補の政治的立場を無視して「黒人だから」という理由だけで投票する者が国の将来を決めることへの不信感もあります。
また、ヒラリーの支持者の中には、長年黒人層のために尽力してきた実績があるクリントン夫妻よりも、(黒人層のために戦った)実績がほとんどないオバマ氏を「黒人だから」という理由だけで支持する黒人の投票者に対する失望と憤りも感じられます。

しかし、「女性だから」という理由でヒラリーに投票する高齢の女性たちも多いのです。ですから、フェラーロ元下院議員のようにコンセプトに熱中することを非難することもできません。
差別には、個人の体験、立場に加え、宗教、学問的背景、理念などが複雑に絡んでいます。決して一方通行ではありません。

マスコミを信用してはならない

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昨日、4州(オハイオ、テキサス、ヴァモント、ロードアイランド)で大統領予備選が行われ、民主党では、オバマがヴァモント州で圧勝したものの、残りの3州ではすべてクリントンが票の過半数を獲得しました。選挙結果はこちら
昨日のCNNおよびMSNBCの政治番組では、ほとんどのキャスターや政治評論家の意見は「オバマの勝利は明らか。今日の選挙が終わったらクリントンは、民主党の団結のために敗北宣言をするべき」というもので、誰ひとりとしてこの結果を予想していませんでした。クリントン大統領夫妻の長年の友人でヒラリー・クリントンのCampaign Chief Fundraiserを務めているTerry McAuliffeがMSNBCで「ヴァモントはオバマが勝つが、あとの3州ではヒラリーが勝利する」と宣言したとき、Chris Matthewsを含め、MSNBCのキャスターや評論家たち全員が大笑いしました。
彼らの論調で非常に強い疑問を抱いたのは、前回のブログにも書きましたが、ヒラリー・クリントンに対する「何事も計算ずくの女」という批判、そして黒人票が圧倒的にオバマに偏り、高齢の白人女性の票がクリントンに偏っているのを、互いへの「反対票」として分析していたことでした。
けれども、実際に投票に並んでいる者のインタビューでは「オバマとクリントンのどちらも好き。実際に投票用紙に向かうまでどちらにするかわからない」と答える人が多いのです。私の周囲でも「ヒラリーが嫌いだからオバマに投票する」という人は皆無で、「どちらでも共和党に勝ってくれる人を選びたい」というのが大部分の民主党員の意見なのです。

主要なメディアの政治番組だけを見ている人は、バランスがとれていないために「クリントンに勝ち目はない」、「彼女はネガティブだ」というイメージを抱く選択肢しかありません。けれども、討論を最初から最後まで聞き、候補者のサイトを訪れて医療保険や経済政策を読めば、自分で候補者の善し悪しを判断することができます。たぶん今年は、テレビだけでなくインターネットなどを利用して自分で候補者を選びたいと思っている人が多いのではないでしょうか。
11月の選挙では、マスメディアを鵜呑みしない人がマジョリティであることを祈っています。

アメリカ合衆国では人種差別と性差別のどちらが強いか

今日4州(オハイオ、テキサス、ロードアイランド、ヴァモント)で行われる予備選は、その結果次第で民主党大統領候補が決定する可能性があると言われている重要なものです。というか、今年の予備選は、普段の予備選に比較して「すべての州が重要」になっています。
現時点では、勝利した州の数と「代表議員(delegates)」の数でバラック・オバマが有利ですが、今後彼がすべての州で勝利しても、過半数の代表議員数を獲得することは無理です。勝敗を決めるのは、スーパー代表議員と呼ばれている民主党の重鎮たちの票になります。彼らは、投票者には関係なく、自分の意志で候補を選べる人たちです。実際の大統領選挙で共和党候補に勝てるかどうか、というのが彼らの選択の条件になるわけですが、彼らに普通の選挙人の心が読めるかどうか、というのは大いに疑問です。というのは、4年前に民主党は「選挙に勝ちやすいだろう」という計算でジョン・ケリーを選んで失敗しているからです。どうせ負けるのなら、戦争に最初から猛反対し、若者や無所属の投票者を魅了していたハワード・ディーン(現在、民主党全国委員長)を押すべきだったのに、彼に「ばかげた候補」というイメージを与える戦略にマスコミと一緒になって荷担したのですから。

さて、マスコミがあまり語らないことですが、この選挙では「人種差別(バラック・オバマ氏の父親はケニヤ人で母親は白人)」と「性差別(ヒラリー・クリントン)」のどちらが現在のアメリカ合衆国では根強いのかかいま見ることができます。
4年前の民主党党大会のときに私はバラック・オバマに注目し、長年民主党に深くかかわってきた友人たちに「4年後はオバマだ」と予言しました。すると彼女たちは、「彼は若すぎる。経験がない。アメリカの大部分は黒人候補を受け入れる心の準備ができているとは思えない。10年待つべき」と笑いました。
その友人たちがオバマを支持するようになった現在、私の支持はヒラリー・クリントンに傾くようになりました。それは彼女が女性だから、というわけではなく、2人の討論を聞き、彼女のほうがすべての分野で深い知識と行動力を持っていると感じたからです。

Chris-matthews-1 また、興味深いのは、MSNBCの政治番組「Hardball」のキャスターであるChris Matthews の ヒラリー・クリントンに対するコメントに強い性差別を感じるようになったことです。最初のころにはバラック・オバマのファンだった私です。4年前に友人が「ヒラリー・クリントンのほうが勝ち目がある」と言ったとき、「彼女は好感度がよくないから」と返したのは私です。

その私が、毎日Chris Matthewsのコメントとオバマ対クリントンの討論を聞き比べているうちに、ヒラリー・クリントンのファンになっていったのです。

そもそも「好感度がよくない」という4年前の私の印象は、実は私自身が抱いたものではなく、マスコミから与えられた印象でした。実際に彼女の討論や講演会の様子をすべて(ここが大切です。ニュースで編集されたものは、編集した者の意図を反映するものだけですから、だまされます)見ると、彼女はけっこうユーモアのセンスがあり、すごく頭が良いことがわかるのです。わが娘も討論を聞いていて、「ヒラリーってものすごく頭がいいね」と好感度を高めたようです。

しかし、マスコミの討論の評価を聞くと、私たち家族が受けた印象とはまったく別のことを語っています。オバマの評価は甘く、ヒラリー・クリントンが軍事関係で意志の強さを見せると「怖い女」といった評価になり、熱意のあまり涙ぐむと、「弱いところを見せて同情されようとしているが、計算ずく」と、これまで仕事の場で多くの女性に対して与えられた性差別が噴出します。

Chris Matthewsのヒラリー・クリントンに対するコメントの例には以下のようなものがあります。(詳しくは、Media Matters For Americaのサイトをどうぞ)

"[T]he reason she's a U.S. senator, the reason she's a candidate for president, the reason she may be a front-runner is her husband messed around. That's how she got to be senator from New York. We keep forgetting it. She didn't win there on her merit. She won because everybody felt, 'My God, this woman stood up under humiliation,' right? That's what happened."

(彼女が上院議員である理由も、大統領候補である理由も、最有力候補になるかもしれない理由も、彼女の夫が女たちにちょっかいを出してきたからだ。だから彼女はニューヨーク選出の上院議員になったんだってことを、我々はすぐ忘れてしまう。彼女は実力で勝ったんじゃない。みんなが「この女性は屈辱を受けながらも夫を支えたのよ。すごいわ」と同情したからだろう?だから彼女は上院議員選挙に勝ったんだ)(注:Chris Matthewsがここで意味しているのは、ビル・クリントンのモニカ・ルウィンスキー事件)

ヒラリー・クリントンがビル・クリントンの浮気に関する同情票で勝ったというのは、極めて言い過ぎです。ヒラリー・クリントンは、同時テロの後マスコミに作られた悪い印象によりニューヨーク市の警察官や消防署員からブーイングされたことがありますが、2回めの上院議員選では彼らから強い支持を得、男性票も過半数を得て大勝利しています。敵を味方に変えることができた彼女の手腕をパワーあるマスコミがまったく無視して「同情票」と言い切るのは、差別以外のなにものでもありません。ある番組で政治に強い関心のある女性コメディアンが「この国では、人種差別よりも女性差別のほうが強い」と憤っていたのは、残念ながら事実 だと思います。