ハーバード大学のGates教授逮捕事件のベストな解決策

ハーバード大学のHenry Gates教授が中国からの旅行から帰宅したとき、自宅でケンブリッジ警察の警官に逮捕されたのは先週のこと。それが国際的な話題になったのは今週になってからのことでした。
黒人のGates教授が家に戻ると玄関のドアが壊れていて中に入れず、無理に入ろうとしているのを目撃した白人女性がケンブリッジ警察に通報し、パトロール中の警官(ボストンの警官の典型でアイルランド系の白人)が駆けつけたところすでにGates教授は自宅の中に入っていました。
ここからが警官の言い分とGates教授の証言が異なるところで、警官がGates教授にIDを求めたところ、Gates教授はそれを拒絶し、自宅にいる黒人がこういう扱いを受けるのは人種差別だといった意味のことを言って怒鳴り始めたというのが警官の言い分です。Gates教授の言い分はIDを見せたにも関わらず警官が自宅の外に出るように命じ、教授のリクエストにもかかわらず警官の証拠であるバッジを見せなかったとのこと。
Gates教授が警官に向かって怒鳴っていたことと、身体的な接触がなかったのは双方が認めていることですが、警官に対するdisorderly conduct(この場合、怒鳴ったり、ののしったりしたこと)でGates教授は手錠をかけられて逮捕されたというわけです。

その場にいたわけではありませんが、警官の書いたレポートもちゃんと読んだ結果、私が想像するのはこういったシナリオです。

黒人の男性はいろいろ差別体験を持っています。ふだんはなるべく過剰反応をしないようにしている人でも、疲れているときなどにはカッとくることがあると思うのです。たぶんGates教授は長旅で疲れているときに自分の家の中にいるのにもかかわらず身分証明を求められて「この尊敬される地位に達してもまだこんな差別をされるのか!」と頭に来て、過度に「私を誰だと思っているのか?」という横柄な態度に出たのでしょう。そして、警官のほうも、頭越しに怒鳴られたもので、「教授だからといって警官の私より偉いと思ったらおおまちがい。どっちが偉いか見せてやろうじゃないか」と意固地になったところがあるのでしょう。教授だとわかった時点で「それは申し訳なかった。仕事だから勘弁してほしい」と丁寧に謝罪すれば、教授もだんだん落ち着いたと思うのです。それに、どんなに怒鳴っていても自宅にいる者でしかも身体に触れていない市民を逮捕するってのは行き過ぎだと私は思います。

要するに、どっちもどっち的ですが、誰にでも起こりえることです。

その後起訴は取り下げられたのですが、この問題が全国的に話題になり、Obama大統領がヘルスケア改革演説の後に意見を求められたのが泥沼化の原因になりました。Gatesを逮捕した警官が"acted stupidly"と言っちゃったのですよね(ABCニュースのビデオ)。これを聴いたとたん、私は「これはまずいことになったぞ」と思いました。

案の定、共和党はここぞとばかりに白人層の怒りをかき立て巻き返しを狙いはじめました。リベラルで知られるボストン界隈ですが、地元のテレビニュースや新聞では、ケンブリッジの警察を支持する意見が圧倒的で、ケンブリッジ警察は記者会見までしてGates逮捕を正当化する意見を強調しました。

ですが、さすがにスマートなObama大統領です。
さっそく、この白人の警官に電話し、Gates教授と3人で一緒にビールを飲んで話し合おうじゃないか、と提案したというのです。話し合えばわかる、ってことがよくあるのですよね。これを機会にGates教授とケンブリッジ警察が仲良くなってくれるとうれしいです。

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