アース・トレインから学ぶこと。私たちにできること

これまでのパナマ報告はこちらをどうぞ。

早朝ミーティング

赤道に近いパナマは、北緯42°のボストンとは異なり、夏と冬で日出日没時間にあまり変化がありません。暑いのですっかり夏と錯覚してしまうのですが、午前6時すぎまで暗く、午後7時には真っ暗になってしまうので混乱します。

そういう混乱はあれど、私たち夫婦は日が短い冬のボストンでも毎朝午前4時には起床しているので、ここでも午前5時には起床していました。


偶然、ネイサンも早起きです。ですから、午前5時半にコーヒーを飲みながらごく自然な形で早朝ミーティングになりました。外が明るくなってくると、私たちは椅子を持って丘を登り、ジャングルが見渡せる場所でバードウォッチングをしながら語り合いました。こんなに贅沢な会議はめったにありません。

いろんな種類のハミングバードがやってくるので、中断が多くて困りましたが…。

ネイサンの地道な努力

アース・トレインの活動についてこれまであまり耳にしたことがなかったのには、ちゃんとした理由があるのです。

「過去10年間、努力して目立たないようにしてきたのです」

そうネイサンは語りました。

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ネイサンがアース・トレインのためにマモニ峡谷の1万エーカーの土地をとある未亡人から購入したのは、ちょうど10年前のことです。彼女は最初のうち伐採と鉱業を狙うコロンビアの企業に土地を売るつもりだったのですが、原生林を愛して残した夫や、土地の名前をつけた息子たちに対して恥ずかしい行為だと思い、環境を保護してくれるアース・トレインに安く販売したのでした。

 購入を予定していたコロンビアの企業と、職を得る筈だった地元の人びとは怒りました。

「コロンビア人たちからは、殺しの脅迫を相当受け取りましたよ」

ネイサンは当時を振り返って笑いますが、コロンビア人の脅しはよく実現していますから笑えません。

IMG_0401 ネイサンが取った戦略は「慎ましく始めること」でした。

地元の住民が住むような小さな小屋だけを立て、新参者として地元の人びとから受け入れられるよう努力し、仲良くなることから始めたのです。

「冠婚葬祭から諍いの仲裁まで何でもやりました。特に争いの仲裁は何度やったかわかりません」

車で運転しているときに気付いたのですが、ネイサンは住民をみかけるたびに車を停めて話しかけます。住民のほうも、彼をみかけると手を挙げて笑顔で挨拶します。話が長くなってなかなか前に進めないのですが、それもアース・トレインの信念である「協調と恊働」の実現なのですね。

 一度などは道ばたに立っていた住民の一人がトラックの荷台に乗ってきました。

「最初は、頼まれるたびに全員をトラックで運んであげていたのですが、この地区の乗り合いトラック業者が仕事を取られて怒るので、今では彼らの営業妨害をしないように気をつけています」

住民との調和ある共存をめざす気遣いを感じます。

ネイサンが乗せてあげた村の住民が、降りたときにお礼にこんな面白い果物をくれました。でっかいインゲンのように見えますが、中は少しライチに似た感じです。

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cooperation (協調)とself-reliance(自立)

オックスファム・アメリカの共同創立者だったネイサンは、「与えるだけの慈善」とか「施し」という考え方が嫌いなようです。はっきりそう語ったわけではありませんが、言葉の端々からそれが感じられます。

「僕は、とある理由からずっとマザー・テレサに会うことを拒否してきたんですよ。話すと長くなるのでやめますが。マザー・テレサなんて…(手を払いのけるようなジェスチャー)と思ってきたんですよ」

けれども、実際に彼女に会って語り合い、まったく自分が想像していたような人物ではなかったことを悟ったということでした。

ネイサンが強く信じるのは、個々の人間が、自分の力で道を切り開き、生きて行けるような援助をすることです。彼は、「cooperation (協調)とself-reliance(自立)」という表現を何度か使いました。

きらびやかなチャリティパーティで資金を集める慈善組織がよくありますが、ネイサンは、そういうものには背を向けています。そうではなく、個人がわずか25ドルの寄付から環境保護地を始められるEcoReserveやアース・トレインの運営費用を捻出するための営利目的組織を関連組織として同時に進めています。

 下記は、その一部です。

 1)レインフォレスト・キャピタル

環境を保護し、先住民と調和ある関係を持つ投資を行う営利目的の会社。

 2)ジャングルウッド

ミュージシャンたちが作曲したり演奏したりできるコミュニティです。グラミー賞受賞のジャズミュージシャンでバークリー音楽大学教授Danilo Pérez(ダニーロ・ペレズ)が共同創始者です。下記のビデオをご覧下さい。

木彫りアーティストや画家たちが作品を展示・販売するギャラリーをパナマ市のオフィスに開設する準備も、この企画の一部として進んでいます。上記のレインフォレスト・キャピタルのプロジェクトの一部でもあります。

 3)先住民を雇用、あるいは援助。

アース・トレインの管理人夫婦をはじめとして、アース・トレインは地元の人びとを通常の2倍の給与で雇用しています。また、「使用人」という感じではなく、組織の一員として平等に、尊重していることを感じました。

 4)先住民たち(特にクナ族)との協力関係

残念ながら、今回クナ族の村を訪問することができなかったのですが、アース・トレインは、クナ族と一緒にカヤックの旅のエコツーリズムを作りあげ、クナ族の若者の育成や彼らの地域の環境保護を実現しようとしています。下記は、サンタモニカの有名なCrossroads Schoolの学生たちが訪問したときの映像です。

 

 

“ecological and cultural renewal(環境と文化の再生)”

ネイサンが何度も語ったことに「ecological and cultural renewal(環境と文化の再生)」があります。

そのいくつかの例が、クナ族との恊働や、マモニ峡谷で破壊された原生林を回復させる植林です。

林で一カ所に沢山の幼木が集中している場合、生き残ることができるのはごく僅かの木です。ですから原生林を歩いているときに、生き残ることができないのが明らかな幼木を持ち帰り、それを育てて、伐採された場所に植えています。

5年前に植林した場所を見ましたが、既にそれらの木は原生林の半分くらいの高さになっていました。

こうやって「再生」が行われています。

アース・トレインのTrain(電車)に乗ろう

IMG_0468 アース・トレインはまだまだ若い組織です。

パナマ市のオフィスも改造中ですし、マモニ峡谷のキャンパスも最低限の設備で運営されています。ジャングルウッドの演奏施設はまだ谷のままです。

でも、関わっている人びとと心意気は一流です。

ここまでじわじわと積み立ててきたネイサンの実行力からは、長期的な成功が予想できます。

ネイサンから皆さんへのお願いは、世界で最も貴重なパナマの生物多様性を守るための、EcoReserveをサポートしてくださることです。

あるいは、Earth Trainそのものへの寄付ボランティア、などの貢献方法もあります。

これから、の可能性

アース・トレインだけでなく、パナマも、これからの国です。

IMG_2684 パナマは伝統的に金融業が経済の中心(写真は高層ビルが林立する市の中心地)で、お隣りのコスタリカと並んで中米で最も経済的に発展している国です。

上流階級の子弟は、アース・トレインの共同エグゼクティブ・ディレクターのリーダー・スクレ氏のように米国の大学で教育を受けるのが慣しです。

リーダーの話では、パナマとコスタリカではお互いに長所と弱点が異なります。そこで、協力関係を持とうとする働きが生まれているそうです。コスタリカはエコツーリズムが盛んですが、パナマはまだそれが発展していません。今後、この分野が盛んになるような気がします。

鉱業もあるのですが、ご存知のように金属の採掘は環境を著しく破壊します。川が汚染されるために、住民を含めた動植物が被害を受けます。パナマ滞在中の先住民のデモは、韓国の企業による銅採掘に反対するものでした。

こういった環境を破壊するような事業ではなく、日本古来の美しい文化を活かした、日本人にしかできない何か、があるかもしれません。

IMG_0467 アース・トレインは、全世界の未来のリーダーをトレーニングしています。ここで出会った若者たちが、将来国際舞台で再会し、何かを一緒に成し遂げることができるかもしれません。その一部が日本人の若者であることを、私は夢見ます。

日本のどこかで「地球や国のために何かをしたい」と思っている若者がいたら、ぜひ英語とスペイン語を学び、アース・トレインを体験して欲しいものです。また、日本にアース・トレインの協力組織を作り、次世代のリーダーを送り込む人が出て来たら、それも嬉しく思います。

 

Trainには「訓練する」という意味と「電車」という意味があります。

アース・トレインの電車に乗り込む方法を、ぜひ見いだしてください。

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