2012年東北訪問記、その4「笑顔と思い」がこもっているもの

気仙沼のほぼ日」は、「気仙沼さんま寄席」、「矢野顕子の音楽の稽古場」など面白いプロジェクトを次々と実行に移していますが、そのなかで個人的に興奮したのが、「いいものを編む会社。」の「気仙沼ニッティング」です。

目が悪くなってきたのでやめちゃったのですが、その前は自分でセーターのデザインもするし、海外旅行にも毛糸と編み棒を持って行くという、編み物中毒者だったのです。

ですから、引退した今でも、編み物の話になるとウズウズしてきます。編み針と毛糸を引っ張り出してきたくなります。もちろん、気になって仕方がありません。


プロジェクトが動き始めたのは、昨年の11月です。

当時のレポートによると、最初のイメージはこんな感じだったそうです。

 

Screen Shot 2012-12-10 at 11.16.55 AM

「ほぼ日刊イトイ新聞」より抜粋

 

このページで、私が「ううむ」と唸ったのは、

「儲けないように苦労している」自分への気付きと疑問から、

「儲ける会社をつくって、その仕組みをまるごと気仙沼に置いてきちゃう」

という糸井重里さんの発想転換でした。

 

「魚をあげるよりも釣り針と釣り糸をあげなさい」「魚師町」「フィッシャーマンズセーター」「アラン島」「社内で流行っている編み物」「三國万里子さん」というバラバラな発想が繋がるところまでは素人にも出来るかもしれませんが、プロジェクトとしてこれほど素早く動いてしまうというのは、やはり「ううむ」でした。

だって、アランセーターのアラン諸島まで行ってしまうのですよ。

そして、軌道に乗るまで、諦めず、じっくりとゆっくりと努力を続けてゆくのですよ。

「ううむ」と感心せずにはいられません。

 

この旅で大活躍されたのは、編み物作家の三國万里子さん、斉吉商店専務取締役の斉藤和枝さん、そしてプロジェクトリーダーの御手洗瑞子(みたらいたまこ)さん(通称「たまちゃん」)という、素敵な三人の女性です。

それぞれ素晴らしいのですが、御手洗さんは本当に興味深い人物です。

(たぶんご本人が嫌がられるでしょうから詳しくは書きませんが)彼女をよく知る方から耳にしたところでは、学歴も職歴も超エリートでありながら、次のステップに通常の出世コースではなくブータン王国の公務員(初代首相フェロー)の仕事を選んだという、ちょっと変わった人みたいです。

『ブータン、これでいいのだ
(新潮社)』という本を刊行され、糸井さんとの対談されたことは知っていたのですが、いつの間にか「気仙沼ニッティング」のリーダーをされていると知り、びっくりしました。

実際にお会いしたところ、華奢で可愛くて、柔軟でありながら芯は強靭そうです。気仙沼の斉吉商店さんに下宿されていて、本当に「そこの子」みたいに可愛がられています。祭りで太鼓を叩くほど地域に溶け込んでしまうところに「さすが元ブータン王国の公務員!」と感心してしまいました。彼女も「ほんもののグローバル」です。

いつもながら、「ほぼ日」の繋がる力は驚異的です。

 

でも、これだけの人々が集まっても、簡単なプロジェクトではないということは想像できます。

 

手編みはコストも時間もかかります。

自分で編んだことがある人はよくご存知だと思いますが、手編みは時間もコストもかかります。

品質の良い毛糸を使うと普通のセーターを買うよりもずっと高くつきますし、大人のセーターを編み終えるのには何週間もかかります。

そのうえ、世の中には安いニット製品が溢れています。

アラン島でも機械編みが主流になっているようですし、賃金が安い国の人が作った手編みのものもあります。

そういった疑問を抱く方はいらっしゃるでしょうが、まずは「ほぼ日」のレポートを最初からじっくりと読んでみてください。

私も、実際に気仙沼を訪問するまでよく分からなかったことがありました。いろいろ勝手に想像していたこともあります。

でも、気仙沼で、試作のカーディガンを編んだ人と、編んでもらった人との感動的な出会いを目撃し、ようやく「手編みだからこその価値」が見えてきました。

 

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写真は「ほぼ日」提供

コストと時間がかかっても私が夫や娘にセーターを編んだのは、この世にひとつしかない、私の思いを着て欲しかったからです。

 

IMG_2690

20年前に夫に編み、すっかり着古されたアーガイルセーター

 

編んでいるときには、幸せになる脳内物質が出ているような感じで、すごく楽しいし、幸福なんです。それが、セーターにも染み込んでゆくようです。

アラン島の女性たちは漁に出る男たちの無事を祈って編んだわけですよね。

そういうふうにして作り上げたものには、「たましい」のようなものがこもっているような気がします。

神社で買うお守りよりも、ずっと幸運を呼び寄せてくれそうではありませんか。

 

 

この写真に写っている気仙沼のおかみさんたちの笑顔を見てください。

 

_0050333

写真は「ほぼ日」提供

 

私自身がそうなのですが、人の役に立つ仕事とか人に喜んでもらえる仕事をさせていただけるのって、すごく嬉しいものなんです。「あなたが生まれてきて、よかった」と認めてもらえているようで。

糸井さんと「ほぼ日」が気仙沼で作り出そうとしているのは、この笑顔であり、幸福感かもしれない。そんなことを思ったのでした。

 

12月13日に「気仙沼Knitting(ニッティング)」ファーストモデルの抽選販売の受付が開始するそうです。

Screen Shot 2012-12-11 at 3.50.11 AM

この笑顔と思いがこもったセーターを着る幸福な人は誰なのでしょうね。

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