2012年東北訪問記、その6「空気を読むより、吸いたい空気を作っちゃえ」

「ほぼ日」乗務員の小池さんからは、「気仙沼の方はとても国際的なんですよ」とお聞きしていましたし、ある方からは「気仙沼の人って、ラテン系のノリ」とも聞かされていました。

昔から国際的な漁港だったので「海外に家族や親戚がいるのはあたりまえ」という感じですし、この旅でお会いした方々は、明るくて、ノリが良くって、私がアメリカで知っているラテン系の方々と似たところがあります。

でも、「やっちさん」と呼ばれているアンカーコーヒーの専務の小野寺靖忠さんのノリは、ラテン系というよりもアメリカ〜ンです。

ふつうの地方都市では「アメリカではさぁ〜」という感じでおちゃらけトークをすると「アメリカかぶれ」と批判されちゃったりするでしょうが、やっちさんのアメリカンさは気仙沼にはしっくりと溶け込んでいる感じです。

八木澤商店の河野通洋さんの工場でお会いしたのですが、「留学中はきっと友だちが多かっただろうなあ」というのが初対面の印象でした。

河野通洋さんにもアメリカ留学体験があるのですが、彼とはまた異なるグローバル人材です。

ちょっとそれについてご説明してみようと思います。


 

日本では「空気を読む」ということが高く評価されていますが、空気を読み過ぎちゃうと、何もできなくなってしまいます。

「なんだか、この空気は息がしにくいぞ」とか「臭いぞ」と思っていても、「みんなが吸ってる空気を否定しちゃいけないよな」と遠慮する。窒息しそうになっても「ここ以外の場所に行っても、息がしやすいとは限らない」と諦め、空気を吸い続ける。そのうちに慣れてその空気を美味しいと思うようになるか、あるいは窒息するか身体を壊してしまうというパターンが多いのではないでしょうか。

「閉塞感」とは、そういう感じなのだと思います。

けれども、いろんな分野で活躍している人は、どちらかというと、空気を読むよりも、独自の空気を作ってしまう人なのです。

 

アンカーコーヒー」のやっちさんにお会いしたとき、私は「ああ、この人も空気を作るほうの人だなあ」と思いました。

空気を作る人のなかにも色々なタイプがあって、あまりにも「できる」オーラを発散している人の空気を読みすぎてしまうと「私って、ダメだ」と落ち込むことにもなりかねません。うっかりすると自信を崩され、自分が生きたいように生きる勇気を奪われてしまいます。

でも、やっちさんの空気を吸ったときに私の頭に浮かんだのは「disarming」という単語でした。

下らないギャクや「え?」というような発言の連続に笑っているうちに、身構えることをすっかり忘れてしまい、気づいたらやっちさんの存在を丸ごと受け入れてしまっているのです。

Disarmとは「武装解除する」という意味ですが、初対面で緊張していたり、敵意を抱いていたりする人が心にまとっている鎧を、本人も気づかないうちに脱がせてしまうことがdisarmingなのです。

これは、アメリカだけではなく、全世界で通用するコミュニケーション技術です。きっと、ヨーロッパでの買い付けでもこの能力は活かされている筈です。だから私は冒頭でやっちさんのことを「グローバル人材だ」と言ったのです。

「他人が吸いたくなる空気を作る」というのは、「空気を読む」ことよりある意味優れた能力だと私は思っています。グレイトフル・デッドも、自分たちが吸いやすい空気(生きやすい雰囲気)を作っていたら、ファンが集まったのですから。

 

でも、やっちさんの才能はそれだけではありません。

アメリカ留学中にシアトル系コーヒーショップのファンになった青年が気仙沼に戻ったときに好きなカフェラテが飲めないという不満を抱いたところまではよくある体験談ですが、その不満を「アンカーコーヒー」というコーヒーショップに作りかえてしまったのです。

「前例がない」あるいは「成功例がない」ことをチャンスと捉え、事業の可能性を研究して、実現してしまったところが、まさに『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』的な起業家(Entrepreneur)ではありませんか。

そして、せっかく育てた店を震災で失っても、立ち直ってゆくところも。

2013-01-03 09.24.10

しっかり者で明るいお姉さんの紀子さんやご両親も、やっちさんが個性を活かせる環境を作り上げています。成功者の陰には、必ずといって良いほどしっかりしたサポートシステムがあります。

誰も、ひとりでは成功しないんですよね。

 

ところで、 先日「縁」について語りましたが、アンカーコーヒーでそれを実感する出会いがありました。

日本に来てから初めて「美味しい!」と思うカフェラテに出会えて喜んでいたところ、そこにアメリカのマサチューセッツ州から訪問されているご夫婦がいらしたのです。

お話をしてみたら、奥様の律子さんは、なんと以前にFacebookで言葉を交わしたことがある方だったのです。

しかも、気仙沼市が故郷とのこと。恥ずかしいことに無知だったのですが、震災後はマサチューセッツ州で気仙沼市の復興のために多くの活動をされています。

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律子ロビンソンさん

お話をお聞きすると、(私の勘違いがあったので訂正しました)小野寺家のお母様の実家と律子さんの実家がご近所だったというのです。お互いに話は聞いていたけれども、律子さんがやっちさんと紀子さんに会われたのは、今回が初めてだったとのこと。

 

その後、紀子さんたちと一緒に気仙沼市を案内してくださいました。

 

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気仙沼市の夜景を背景に、小野寺紀子さん、律子さんのご主人David Robinsonさん、“やっちさん”こと小野寺靖忠さん、私、「ほぼ日」の菅野さん、「ほぼ日」の小池さん(撮影は、律子ロビンソンさん)

 

「縁」の不思議は、それだけではありませんでした。

律子さんは、フロリダのディズニーワールドで飴作りをされているキャンディ・ミユキさんともお知り合いだったのです。

ミユキさんとは、以前ボストンにチャリティイベントでいらしたときにお会いしていたのでした。

 

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キャンディ・ミユキさんの作品「グレイトフル・デッドのキャンディ」と!

 

 キャンディさんとの繋がりはこれだけじゃなくて、「ほぼ日」でも

「縁」がぐるりと一周してきました。

「世界は狭い!」と今さらながらに驚いたのです。

ことに、律子さんとミユキさんの絆には胸を打たれましたので、こちらでぜひ詳しくお読みくださいませ。

 

これらの方々に共通するのは、「他人が吸いたい独自の空気を作っている」ということです。それぞれの空気が違うのに、ちゃんと繋がることができる。

 

私もできれば「吸いたい空気」を作ることができる人を目指したいものです。

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