アメリカのパブリックヘルスを知ることで日本の医療を見つめ直す

パブリックヘルス 市民が変える医療社会―アメリカ医療改革の現場から―
』という本のまえがきで、著者の細田満和子さんは、ハーバード公衆衛生大学院に留学した日本人の「公衆衛生という観点からは、アメリカから学ぶものがあるのか、正直いってわからない」という発言を紹介されておられます。

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たしかに日本の平均余命は世界でもトップですし、乳児死亡率は最低です。そして、国民会保険でもありますから、人口の約30%が無保険のアメリカ合衆国は「公衆衛生」という点では遥かに後進国に見えます。けれども、細田さんは、日本がアメリカのパブリックヘルスから学ぶことはあると言うのです。


それは、「市民が声を上げ、保健医療の制度や政策を変える、あるいは新たに作るために、政治や政策決定に関わっているという点」です。

細田満和子さんは、東京大学文学部社会学科卒、同大学大学院修士・博士課程、コロンビア大学公衆衛生大学院アソシエイト、ハーバード公衆衛生大学院研究員、という輝かしい経歴を持つ社会学者ですが、ふたりの幼いお嬢さんをアメリカで育ててきたひとりのお母さんでもあります。(相当大変だったと思うのですが)研究を続けながら主婦業、子育て、お子さんの学校のボランティアをこなしてきたところが、アメリカの典型的なキャリアウーマンとも、男性の社会学者とも異なるところです。また、日本やアメリカだけでなく、世界中の学者と関わってきたのにも関わらず、対象が何であれ、常に「初々しい」とも言える偏見のない視線で見つめる態度が変わりません。

細田さんとは以前からの知り合いなのですが、これが細田さんの社会学者としてのユニークさであり、「強み」ではないか。そう私は思ってきました。

本書ではまずアメリカの医療の現状と、その歴史的背景や政治的背景の説明があります。非常にややこしい話なのですが、細田さんはとても分かりやすく解説されています。

「アメリカの医療の話なんか日本人には役に立たない」と思われるかもしれませんが、そうではありません。アメリカを知ることで、実は日本で「守るべきもの」と「改善するべきもの」が見えてくるのです。特に「個人」と「社会」をどうとらえるのか、それは、これからの日本人は避けて通れないものでしょう。

政府にまかせているだけではなく、自分たちで自分たちの健康を考えて行く。そして、自分だけでなく、社会に属する他の人のためにも働きかけ…。この本で細田さんが語られていることは、専門職や役人でなくても、一般市民ができることではないかと思うのです。

ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思いました。

 

 

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