「海外で売りたい」「売れないのはなぜ?」を本音トークしてみたらどうだろう?

カナダのニューブランズウィック州セント・ジョン市商工会議所(Chambers of Commerce)が、地域のビジネスを活性化させる新しいマーケティングを学ぶセミナーを実施した。

ここで2日にわたって講演とセミナーをした夫David Meerman Scottの補佐役として私も参加させていただいた。

ニューブランズウィック博物館でのレセプションで、鯨の骨に取り囲まれて、商工会議所の人やカナダ人ビジネスマンたちとざっくばらんなビジネストークをしたのだが、こういう場で聞く本音がいつも面白い。

 

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right whale(セミクジラ)の骨の前で

 

 


いくつか印象に残った発言をご紹介しよう。

「(造船業が消えた)セント・ジョンは『活気がなくなった(dead)過去の都市だ』という営業担当者がいる。デトロイトについてもそういう営業担当者がいるが、昔のやり方に慣れている営業は表層しか見えないから困る。そういう都市にこそ新しい芽が息吹いているのに、先入観があるから見えないんだ。」(世界中のリテール会社に商品を卸している会社のCEO)

「日本のカスタマーは最も要求が激しい(demanding)」(同上)

「アメリカ合衆国、南米、ヨーロッパへは着実に進出しているのに、なぜかアジアにはできない」(商工会議所の方)

「アジアといっても、日本人と中国人の対応は非常に異なる。」(同上)

「ハイテク企業の買収で削減された社員、特にエンジニアを、急成長で人出が不足しているハイテク産業にパッケージにして貸出する産業がスタートしている」(大手ソフトウェア会社のマーケティング部門の管理職)

「現在のセント・ジョンの重要な産業のひとつは、巨大クルーズシップの寄港による観光業とクラフトの販売。年に20万人以上が訪れるが、ニューヨークやボストンからのクルーズシップの客はモノを買わない。それとは対照的に、ヨーロッパからのクルーズシップの客は、家具などを大量に買う」(別の商工会議所の人)

 

「海外で売りたい」のに「売れないのはなぜか?」というのは、どの国の行政にも共通する悩みである。だが、外を知らずして外で売れる方法を推測し、国内の大手広告代理店に任せていると、当てずっぽうの陳腐なキャンペーンに大金を費やすだけで終わる。

世界各地の優れたビジネスマンと会って実感するのは、「勘」の重要性である。その「勘」は、「観察力+オープンマインドな体験+分析力」で培われたものである。優れたビジネスマンは、安楽な場所を離れて、いろいろな場所や人に触れることを忘れていない。ソーシャルメディアも、その「安楽な場所を離れて異なる人に触れる」一部なのである。

ここでふと思ったのは、国レベルではなく、「小さな自治体レベルでのほうが繋がりやすいのではないか」ということだ。

国レベルだと良い案が生まれても、身動きが取れない場合が多い。

だが、自治体レベルなら、実行力があるリーダーがいれば、決定から実行まで(国レベルより)身軽である。せっかくインターネットで世界がフラットになっているのだから、そういう自治体の個人同士が繋がって本音トークで協力しあうこともできるのではないだろうか?

そういう思いつきを話したら、セント・ジョンの方々はとても乗り気だった。

日本の自治体とセント・ジョンのジョイント企画がいつか実現することを願う者である。

 

 

 

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