住民が手作りする公教育3

2章 学業での達成よりも不思議な謎

 

20代にイギリスに何度か住み、スイス、フランス、ドイツなどをひとり旅したことがある私は、いろいろな国で差別された経験があります。

イギリスでは電車で日本人とおしゃべりしているときに見知らぬ男性から「ここはイギリスだから、英語で話せ!」と怒鳴られましたし、夜道で「チンク(中国人に対する蔑称)!」と呼ばれて数人の男性に追いかけられたこともあります。お店で私の順番なのに無視されたこともあります。ヨーロッパでの一人旅の途中でじろじろ見られたり失礼な扱いも受けました。香港に住んでいたときには、別の意味でイギリスよりも不愉快な思いを何度もしました。

夫の両親が住んでいるニューヨーク市近郊の町ではそういった差別は受けませんでしたが、裕福な白人が多いせいか「腫れ物を触るような」優しさを感じ、気楽につき合える友だちを作るのは難しいと感じました。

ですから私は、レキシントン町でもある程度の差別はあると予期していたのです。

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住民が手作りする公教育2

1章 私がレキシントン町を選んだ理由

 

私がウォール街の金融情報会社の東京支社を開設するために来日したアメリカ人の男性と出会ったのは1987年で、彼と結婚したのは1990年でした。私たち二人が住んでいたのはバブル景気最盛期の東京で、「経済で世界を制覇する」という活気に満ちていました。

当時のアメリカ合衆国はそんな日本の経済力に脅威を覚えており、アメリカ人が日本車をハンマーで叩き壊したり、日の丸の国旗を焼いたりする「ジャパンバッシング」のニュースが日本にも伝わってきました。

香港への転勤を経て1995年にアメリカ合衆国に移住することになったとき、私たち夫婦が心配したのが、「ジャパンバッシング」と2歳半になっていた日米ハーフの娘への「差別」でした。

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住民が手作りする公教育

まえがき

 

日本の学校で「いじめ」や「子どもへの性的虐待」のような不祥事が起きると、必ずと言ってよいほど同じ反応が起こります。

不祥事を起こした当人、管理責任がある校長、それを管理する教育委員会を、マスコミと国民が一致して非難し、糾弾します。「なんて不道徳な人間たちなのか!」、「こんな人間がいるなんて恥ずかしい」、「刑罰を与えるべきだ」という声がソーシャルメディアに溢れます。

けれども、何度も同じような事件がくり返し起こることをみると、根本的な問題は何も改善されていないのではないでしょうか?

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