明けましておめでとうございます

2012年は、皆様のおかげで、とても実り多き年でした。

 

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タークス&カイコス島で迎えた2012年大晦日のサンセット

 

2013年は、縁があって繋がった方々と手をつなぎ、私が得た幸運をコミュニティにお返しできるような仕事をしたいと思っています。

 

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ジョギング中に遭遇した光景。「あまのじゃく」の私の生き方を象徴しているかのよう。

 

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

アメリカでの宗教と教育の関係

日本では馴染みがないことですが、アメリカ全土では、パーカー氏や「アーティクル8」のようなグループが大きな政治力を持っています。彼らの多くは、聖書の教えに極端に忠実なキリスト教保守派であり、同性愛や同性結婚に強く反対しています。

アメリカの公立学校で問題になるもうひとつのテーマが「進化論」の扱いです。

たとえば、1925年にテネシー州デイトンで生物学の教師が進化論を教えて有罪になった「スコープス裁判」が有名ですが、公立学校の生物の授業での「創造論」と「進化論」の綱引きは、今でも続いているのです。

1999年に公立学校のカリキュラムから「進化論」を排除したカンザス州の教育理事会は全米からの嘲りの対象になり、翌年の選挙では宗教保守派が席を失って「進化論」が復活しました。しかし、2004年の選挙では州の「同性婚禁止法」と抱き合わせでキャンペーンをした宗教保守派が復活してふたたび教育理事会は保守派が過半数になり、今度は「Intelligent Design(インテリジェント・デザイン)」という造語を使って「創造論」を公立学校の生物学のカリキュラムに取り入れようと試みています(2004年現在の調査)。

ここで彼らが「神」という言葉を避けたのは、「米憲法修正第1条、国教条項」が公立学校で特定の宗教を教えることを禁じているのを承知しているからです。彼らは、「進化論」は証拠のない「説」に過ぎないので、「神」ではなく知的存在によって創造されたという「説」も生物学の授業で同列に扱うべきであると主張しているのです。

 

テキサス州オデッサ町の教育審議会(レキシントンでは教育委員会に相当する)は、「Bible study(聖書の学び)」を公立高校の選択科目にすることを2004年4月26日に全員一致で決定しました。MSNBCニュースによると、聖書クラスの支持者300人以上で満席になった審議会とその会場の外の雰囲気は、歌や祈りで「まるで教会の礼拝のよう」だったということです。

 

人間の起源に関する「進化論」と「創造論」の対立はよく知られているのですが、バランスのとれた宗教観を広めようとする「Religious Tolerance. Org」のサイトによると、もっと複雑なバラエティがあることがわかります。

その中で主要なものは次の通りです。

 

○創造科学

  保守的キリスト教者にもっとも人気があり、信念は次の二つに分かれる。

・新地球創造

人間を含む生命体と地球、宇宙のすべては神により過去一万年以内に創造されたという説。創造科学論者の大多数が信じている。

・旧地球創造

地質学や放射分析から地球は何千億年以上前に創造されたと信じるが、地球や宇宙を創造したのは神である。

○自然主義的進化論

私たち日本人に一番なじみの深い説。アメリカでは多くの人がこの説を信じる者は「無神論者」だと考えている。

○有神論的進化論

自然主義的進化論と同様のプロセスが起こったと信じているが、それらは神の意志によるものであり、神がコントロールしていると信じている。

 

それでは、ふつうのアメリカ人は何を信じているのでしょうか?

 

2001年のギャロップ世論調査「人類の起源と進歩についてあなたの見解にもっとも近い説明はどれですか?」の結果は以下のとおりです。

 

1)人類は現在よりも劣った状態から何十億年以上かけて進歩したが、神がその過程を導いた。(有神論的進化論)37%

2)人類は現在よりも劣った状態から何十億年以上かけて進歩したが、神はその過程には無関係である(自然主義的進化論)。12%

3)過去一万年以内に神が現在とほぼ同じ状態の人類を創造した(創造論-新地球創造)。45%

4)その他。意見なし。6%

 

ダイアモンド中学校では、科学ではなく6年生の社会「古代文明」の一部として「創造説」を学びます。でも、この授業では「創造説」は「創作」として扱われており、「創造神話」を書くプロジェクトでは、自由に物語を作りあげても非難されることはありません。

レキシントンの教育者やPTAの多くが日本のように「自然主義的進化論」があたりまえのように扱っているので表面化しないのですが、実はレキシントン町にも「インテリジェント・デザイン」を密かに推し進めようとする勢力あり、教育委員の候補を出して来ています。けれども、彼らは学校のボランティアなどでネットワークを築き上げていないため、今までのところ十分な支持者を集められないでいるようです。

 

*この文章は2004年に書かれたものであり、現在は状況が変化している可能性があります。

1日中太陽が昇らない12月のラップランド体験

忙しすぎて、なんと2ヶ月以上このブログを更新していなかったことになるんですね。いろいろ書きたいことはあるのですが、とりあえず12月の旅のご報告をいたします。

Glass-igloo

寒いのが大嫌いな私なのですが、ある方のツイートから上記のような場所があることを知り、夫に「ここに行きたい!」と冗談半分でメールしました。すると「Why not?」と返事が!あろうことかその日のうちに旅を決めちゃったのです。ガラスのイグルーは、Hotel Kakslauttanenというところにあります。

夫のスケジュールが完璧にオープンなのはクリスマス寸前だけですから、1日中太陽が昇らないトワイライトシーズンに、ラップランドに行くことになってしまいました。

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日本の主婦の悩み

現在「成功と幸福」というテーマで本を執筆中です。

そのなかで、日本人女性特有の葛藤と不幸せについて書いています。

働く女性も、専業主婦も、立場が違うだけで、悩みには共通点がある筈です。

それをどう改善してゆけば幸せになれるのか、そういったご提案をするためにも、みなさまの率直な体験をお聞かせいただきたいです。コメントにご自由にご記入ください。

このウェブページは、ブログ記事として公表していませんので、多くの方の目にはとまらないとは思いますが、ここにお書きいただくことは、本の中で引用させていただく可能性があります。そのときに都合の悪い方は、コメント内でそのようにお書きくださいませ。

また、じっくりと取材させていただきたい場合もありますので、できましたらツイッターアカウントなど、連絡先をお知らせくださいませ。

また、参考までにこちらのTogetterもどうぞ。

 

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海外留学について、ご意見、情報募集

近年日本から米国への留学生が減っているとのことです。娘の大学選びでいくつかの大学を訪問したときにも、中国や韓国からの留学生の多さと日本人の少なさを実感しました。

今回の震災の後に米国は日本にいろいろな貢献をしてくれましたが、それも日本が米国や米国人にとって大切な存在だからです。留学生が今後どんどん減って行くと、個人レベル(人脈)での絆が減ってゆくことが懸念されます。

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ご協力者リスト

本書を執筆するうえで取材にご協力くださいました次の方々に心から感謝いたします。文中で例文を引用させていただいた方にもお礼を申し上げます。(ご本人の希望に合わせ、本名、ユーザー名、通称の場合があります)。

 糸井重里さん(@shigesato_itoi)、田中宏和さん(@tanakahirokaz)、Chris Broganさん(@chrisbrogan)、Dan Schawbelさん(@DanSchawbel)、Rebecca Corliss さん (@repcor)、Dharmesh Shah さん(@dharmesh)、菅谷明子さん(@ AkikoSugaya)、浅田一憲さん(@asada0)、大原ケイさん(@Lingualina)、角モナ さん(@monasumi)、ゆうなパパさん(@ynpapa)、天野由華さん(@flyingLarus)、 Françoise Iwaki さん(@francoiseiwaki)、本橋ゆうこさん(@kuromog)、丸山高弘 さん(@maruyama3)、松本孝行さん(@outroad)、田邉将之さん(@masa5150)、@ lakersmania さん、@yoh 6 6 さん、@tt_p10 さん、@ATborderless さん、ピアレス ゆかりさん(@YukariP)、藤井あやさん(@ayafujii)、鴨澤眞夫さん(@kamosawa)、 伊藤由貴さん(@electricalPeach)、平原由美さん(@YHirahara)、久保勇二さん(@ Jv_forrestal)、神原弥奈子さん(@minako)、後藤隆昭さん(@ryu_)、マユ・マカ ラさん(@mayutini)、松下康之さん(@yasuyukima)、仲俣暁生さん(@solar1 64)、 小竹由美子さん、シャーリー仲村知子さん(@nekotanu)、筑紫心保さん、清水晶子 さん、林さかなさん、@_kaiji さん、@kohirooo さん、@poisonpill さん、@kum_i さ ん、@yomoyomo さん、@lililium さん、@yasumi_ さん、@yuki_takauchi さん、@ pine_No23さん、@saitou_dcさん、@erie_crocさん、@tuk3tuk3さん、@shihosfさん、

 

ツイッターを通して、あるいはツイッターを離れた場で、ツイッターとは何であるかを考えさせてくださった方々に、お礼を申し上げたいと思います。ツイッターという、誰もが対等に語り合えるSNSゆえに、あえて肩書きを省かせていただきました。

伊藤大地さん(@daichi)、Brian Halliganさん(@bhalligan)、いしたにまさきさん (@masakiishitani)、平田大治さん(@hirata)、小飼弾さん(@dankogai)、津田大介さ ん(@tsuda)、勝間和代さん(@kazuyo_k)、柳瀬博一さん(@yanabo)、竹内靖朗さん (@takeuch)、干場弓子さん(@hoshibay)、篠田真貴子さん(@hoshina_shinoda)、小池花恵さん(@hanahanahanauta)、岩崎清華さん(@SayakaIwasaki)、渡辺弘美さん(@ hiroyoshi)、Misako Yoke さん(@misakouroco)、高島利行さん(@takashimt)、細田満和子さん(@miwhosoda)、渡邊哲子さん(@SatokoWatanabe)、三浦真弓さん(@ mayumiura)、中村佐知さん(@mmesachi)、@TrinityNYC さん、@makiuk さん、リエさん(@ micanzou)、@tinouyeさん、@ayiganayさん、@spiceupmydayさん、@masakawazoeさん、 @y_yt さん、@harumaki_r さん、@HidetoyoNakano さん、@nicorista さん、@satoko さん、@MaricaYMさん、@akitaarekoreさん、@big_sis_rieさん、@imasa_aruminさん、 @lisboacafeさん、@tnomnomさん、@cayotさん、@wakegiorinoさん、@akisato_さん、 @satosixさん、@t_tomokoさん、@atoutitさん、@voicingantsさん、@greytweedさん、@ Ginzi_ITさん、@ohkubo1974さん、@hari_nezuさん、@ichirochanさん、@unpianistiqueさん、 @lichfieldgardenさん、@RieWatanabeさん、@uskdhさん、@yoji_tさん、@ikhrnetさん、 @wa_kaoさん、@ss_meowさん、@universe111 さん、@takumionoさん、@tkwnさん、@ masaeshimuraさん、@moni_aさん、@dai_jiroさん、@hsacoさん、@kenichin625さん、@ tittonさん、@mariamammaさん、@LLikappyさん、@harapekoaomusiさん、@hina_shella さん、@t_hiraiさん、@nyagaiさん、@tamatama2さん、@boxerconanさん、@ayakobingさ ん、@tachiiriさん、@wmsさん、@mika13 さん、@kzhirataさん、 @franc_papa_ さん、@ mean_valueさん、@hyukiさん、@thosoiさん、@mamakumiさん、@tsukamoto_ya2さん、 @kyontataさん、@youyeshangmeiさん、@kumiabさん、@fatstreetさん、@bookclubkaiさん、@muminpapamamaさん、@103atomさん、@Seinaさん、@harakoさん、@murate9さん、@yutomama_jpさん、@daieikenseipanさん、@clinamen_hiroさん、@mamakumiさん、@henry6thさん、

あけましておめでとうございます

ピクチャ 62008年の年末に始めた洋書に関するブログ「洋書ファンクラグ」と「洋書ニュース」は、洋書というニッチな分野ながらも、おかげさまでこの1年の間に1月のアクセス数が2万5千を超えるようになりました。出版社や著者から献本をいただきレビューや感想を求められることも増え、翻訳者や出版関係者との出会いもありました。何よりも嬉しかったのはブログ読者の皆さまとの出会いです。皆さまのおかげで、年末には洋書ファンクラブ「これを読まずに年は越せないで賞」といった読者参加型の企画も行うことができ、実り多き1年でした。

この「ひとり井戸端会議」や「才能を殺さない教育」「子供の才能を殺さないために親が読む本」などで私は以前から教育の問題点について何度か語ってきましたが、この1年は、ソーシャルネットワークを通じて交流した方々や得た情報の刺激で「私自身ができること」について考えるようになりました。

そうしてたどり着いた2010年の新企画が「洋書ファンクラブ ジュニア」です。

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この企画についてご説明する前に、私に強い印象を与えた2つの視点についてお話しさせてください。

まずは、ミューズ・アソシエイツ社長 梅田望夫氏の「知の英語圏日本語圏問題」です。
 日本人の前にそびえたつ「言語の壁」で梅田氏はこう語っています。
 

「英語圏に生まれ育った若者たち」は、それが世界のどこであろうと、別の意味でリアル世界の物理的制約を軽々と超えていく。

日本語圏で生まれ育った若者たちについてはどうでしょう?

学ぶことから働くことまで、ネットがさまざまな意味で「人生のインフラ」そのものへと進化する今、「言語の壁」と言語空間特有の文化に封じ込められるゆえの「文化の壁」がそびえたってくるのを、改めて感ずるのである。

もうひとつの視点は、Googleがいかにして生まれ現在に至ったかを描いた「Googled」というノンフィクションから得たものです。

著者のKen Aulettaは、Googleの成功に不可欠なものとして情熱とビジョンを挙げ、「ビジョンなしの情熱は焦点が絞れていても電池が入っていない機械のようなものである」と説明しています。テストの点が過剰に尊重されている日本の教育では、1つの問いに対して1つの”正しい”答えを高速ではじき出すことがあたかも知性や能力と勘違いされています。「情熱とビジョン」はそういった教育からは生まれません。かえってその可能性を殺してしまうことでしょう。

私が「洋書ファンクラブ ジュニア」の企画を具体的に考え始めたのは、オンライン産経ニュースでの梅田氏の「進化を遂げる英語圏」を読んだときです。特に次の部分が印象的でした。 

インターネットは既存産業に破壊的なインパクトを及ぼすと同時に、利用者には圧倒的な利便性や生産性向上をもたらすものだ。私は勝手に「知の英語圏日本語圏問題」と呼んでいるのだが、世界語と化した英語の非対称性ゆえの構造問題と理解しつつも「これだけの知的興奮の可能性が英語の世界にしかもたらされないのか」と個人的には残念な気持ちが勝る。「日本語で学べる環境」や「日本語による知の創造の基盤」の競争力をいかに維持するのか。ウェブ進化の恩恵を受けて新しい地平が拓(ひら)かれる英語圏を見つめながら、日本人として考えるべき課題は山積だなあと悩む昨今である。

アメリカに住むアジア系移民の子供たちを見ていると、次の世代を担うのはこれらの「世界のどこであろうと、リアル世界の物理的制約を軽々と超えていく」英語圏の若者だと確信させられます。彼らには、世界語としての英語の能力だけでなく、Googleが誕生できる創造的な土壌で培われた情熱やビジョンがあります。日本語圏で育つ子供たちが彼らに対抗できるように、わずかでも貢献できないものかと考えた末に思いついたのがこの「洋書ファンクラブ ジュニア」なのです。

小学生の時点から洋書を日本語の本と同じように楽しむ癖をつければ、たとえネイティブのレベルに達することができなくても、大学生になったころから世界中の情報をリアルタイムで得ることができるようになるでしょう。また、ディスカッションやレビューを書くことを通じて自分でものを考える習慣が生まれます。点数獲得にこだわらず知識を得ることそのものを愛するようになれば、波乱が予想される将来で生き残る柔軟性も生まれるでしょう。

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英会話教師の育成学校、アメリカの小学校や中学校でのボランティアと取材、子育ての体験などから生まれた「洋書ファンクラブ ジュニア」は、日本に住む子供を対象とした洋書の読書推進プログラムです。

少数限定の有料プログラムの正式スタートに先立ち、必要な情報を得るための無料パイロットプログラムを行いますので、ご興味がある方はぜひ「洋書ファンクラブ ジュニア」をご覧ください。

数学問題の答え

怠け者イワンとトロールの物語


タチアナ8ルーブル、イワン7ルーブル。
正しい解き方というのはない。一番手っ取り早いのは、物語を2{2(2x-8)-8}-8=0という式にすることだが、小学校5年生が終わった時点ではまだ代数学を学んでいない。
日本で教育を受けた者には、方程式で素早く簡潔に解くのが良いことだ、という固定観念がある。ところが、フィンケルスタインは、この時点ではまだ習っていない代数学を使って解いた子よりも、独自の方法で解答にたどり着いた子を褒める。コンセプトを理解せずに正解を得たところで、それが親か公文塾から習った付け刃だということを彼女は察しているのだろう。

「五つの部屋がある家のパズル」の答え

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答えは、「不可能」。
18世紀の数学者レオンハルト・オイラーの有名な「ケーニヒスベルクの橋の問題」に類似したもの。オイラーは、橋の問題で一筆書きが可能になる必要十分条件を見つけた。頂点から出る枝が奇数のものがゼロか二つの場合にのみ可能になる。五つの部屋の場合、奇数の枝が出る頂点は4つあるので一筆書きは不可能。

あけましておめでとうございます

2008nypicture2これが2008年のニューイヤーEカード。

英語版にまったく説明を入れなかったので、「マサチューセッツ州では大雪が降っているというのに、なぜこのようなグリーティングなのか?」と不思議に思った人は多いよう。「ハワイにバケーションに行っているの?」という質問を受け取ってしまった。(それならうれしいのだけれど…)

わが家はみんな冬のスポーツが嫌いで、機会があれば暖かい場所に逃げ出す。
コネチカット州に住む姑は、(顔を見るだけで腹が立つらしい彼女の夫を置き去りにして)毎年もっとも寒さが厳しい3ヶ月をフロリダ州のリゾート・コンドで過ごす。2月に1週間学校の休みがあるので、毎年「遊びに来なさいよ」と誘われるのだが、夫と娘は3年前に一度遊びに行っただけでこりごりした様子。「二度と行きたくない」と陰でぼやいている。
その最大の理由は、1)リゾートがあるネイプルズは、フロリダ半島の南西側で、波がまったくない。2)リゾート人口の大部分はリタイヤした人々である。

町は整然としていて、暖かくて、ビーチには素敵なレストランや豪邸が並んでいるのだけれど、みんなおとなしくビーチに座っているだけで、誰も海で泳がないというリゾートは、われわれにとっては気が滅入る。トレーニングで1日に何十キロメートルも泳ぐ娘にとっては、体を動かさないのはかえって苦痛である。
泳ぎがさほど得意ではないので夫や娘のようにサーフィンはできない私も、波の下を潜ったり、サーフィンをしている人を見るのがビーチの楽しみである。何もしない人々に囲まれて、何もしないでいると、たった1週間でものすごく歳を取った気分になってしまう。

姑の友人のLさんは、このビーチに接した豪邸を持っていて、しょっちゅう姑をランチに誘うがビーチには来ない。
「Lは、海が嫌いなのよ。気が滅入るから、毎日たくさん抗うつ剤を飲んでるみたい」と姑が言うので、「じゃあなぜフロリダのビーチフロントなんかに住んでいるの?好きな場所に住めばいいじゃない」と軽く返したところ、「(フロリダ州の住民は収入税を払わなくてもよいから)Lのご主人はとてもたくさん財産を持っているのよ。だから、ここに住む以外の選択はないじゃないの」と私の無知を笑われてしまった。

だが、夫と私は「税金を払いたくないから嫌いな場所に我慢して住む」という感覚だけでなく、そんな感覚を持つ人々に囲まれて暮らすこと事態が想像できない。それに、他の年齢層や異なる職種の人々が存在しないコミュニティに住むと、Lさんではないが、たくさん薬を飲まないと一日を過ごせなくなりそうな気がする。夫と私は、「リタイヤしても、絶対にフロリダのリタイアメントコミュニティには住まない」と固く決意した。

沢山持っているのに幸福ではない人々を見ていると、リタイア後に夫婦で野菜作りをはじめ、ドライブ、写真撮影を趣味にしている私の両親がどれほど幸福な人々かわかる。私も、みんなから羨ましがられるような財産や豪邸よりも、毎朝目覚めるのが待ち遠しいような人生を送りたいと思う。

説明が長くなってしまったが、今年のわが家の目標は、お互いの存在と生きていることの幸運を楽しむことである。

心機一転

このところ夫と娘があまりにも多忙で、彼らのサポート役に徹しているために自分の人生をどちらの方向に進めるのかもあまり考えずに過ごしている。

子育てのために仕事を中断しなかった女性たちは、この年齢になると男性と同様の重要な地位に就いている。子育てを終えてから、飛び込める場所は少ない。……日本ほど厳しくはないが、アメリカ合衆国でも女性は同じ悩みを抱えている。

家族としての幸福をプライオリティにしつつ、自分の人生にも責任を持つ。娘が大学に進むまでの今後3年半が私にとっても進路を決める重要な時間になると思っている。

これを念頭に、これまでのファイルを全部消して、新しいページから始めようと思う。