遠くで放射能について騒ぐより、現場で力を尽くしている人の声に耳を傾けて欲しい。『復興は教育からはじまる』

最近また福島での「鼻血」がネットで話題のキーワードになっています。

私のツイッターフォロワーには冷静に情報を分析する人が多いのですが、感情的で煽情的なツイートも目につきます。

原子力発電を含むエネルギー問題は、「地球の温暖化による環境破壊をどうするのか?」という大きな課題もあり、私自身は、この分野について学べば学ぶほど、「●●をすればいい。簡単だ!」という極論を言うことはできないと強く感じるようになっています。私の「信念」は長年の間に何度も移り変わりましたから、いろいろな「信念」を持っている人を頭ごなしに否定することはできないと思っています。ですから、私とは異なる考え方をする人のツイートも読みますし、それだけでフォローを外したりはしません(他人の人格を攻撃したり、非論理的な思考を押し付ける人は別)。

ただし、地震と原子力発電所からの放射線被害を受けた地域から遠く離れた場所で、あたかも自分が正義の味方のように騒いでいる方々にはウンザリするだけでなく、憤りを覚えます。

その人たちの「正義の叫び」が、毎日現場で頑張っている人たちを傷つけ、復興の邪魔をしていることを、知ってほしいと心から思うのです。

2012年、私は縁があって福島県の南相馬市を訪問しました

地震、津波、放射線被害とすべての災害を被り、子どもたちが暮らす場所も学校の校舎も「仮設」のままという場所です。

そこで会った方々の献身的な努力に、私は何度も心を動かされました。彼らの声をしっかりと届ける方法を見つけられないでいたのですが、南相馬市に連れて行ってくれた友人の星槎大学教授の細田満和子さんと共著者の上昌広さんが『復興は教育からはじまる』という本にまとめてくださいました(目次はこちらで読めます)。

 


この本には、自らも被災しながら、養護教諭として子どもたちのケアに関わり続けた南相馬市立小高中学校の先生や、震災直後に相馬市と南相馬市に行ってスクールカウンセラーとしてメンタルヘルスの問題に取り組み続けた名古屋の中学校校長(震災当時は神奈川県勤務)、被災地の中学校に定期的に通って子どもたちの心のケアと教員の相談に乗っている心理ケアの専門家など多くの方々の体験とレポートがぎっしりと詰まっています。

読者がたぶん驚かれるのは、とても率直な彼らの声でしょう。

震災被災者の養護教諭の井戸川さんと、アメリカ在住なのに震災後に志願して被災地で養護教諭として勤務した前嶋さんのお二人は、子どもたちの身体の不調や不安を訴える声に毎日触れています。彼女たちのレポートを読むと、身体症状の原因が何なのかは、そこに住んでいて、しっかりと検査している専門家たちでも簡単に決められないものなのだと分かります。住んでいる人たちは、放射線の影響に実際に不安を覚えながらも、子どもたちの健康を守る方法を「具体的に」考えて、実行に移しているのです。その彼らが最も辛く感じているのが、「風評被害」とその影響なのです。

前嶋さんは、震災後の住民の健康問題についてこう書いておられます。

「これらの例は、放射線による直接影響だと断定されるものは何もない。それによる生活、環境の変化、精神的ストレスなどから引き起こされる間接的なものとして新たに人々にのしかかってきたものだ。そして着実に人々の健康を蝕んでいった。これから、この二次災害にどう関わっていくのか、解決の道は遠そうだ。」

ですが、「放射線による直接影響はない」と断定しておられるわけではありません。ストレスによるものが大きいと思うけれども「少なからず放射線による直接影響はあった」と思う部分もあるのです。このように、現場の状態は、遠くに住む人が「白か黒」とはっきり決めつけられるようなものではないのです。

涙が出るのは、「風評」のために「先生、結婚しても子ども産めないでしょう」と言う女子中学生や、震災後にボーイフレンドが離れてしまい、「福島の女性とは結婚したくないのでしょう」と語る女性の言葉です。

福島の方々が受けた偏見と差別については、編者の細田満和子さんも第7章で語っておられます。

ネットで「福島の子どもを放射能から守ろう!」と大騒ぎする人は、この本を読んで、その子どもたちの幸せや将来を邪魔しているのが自分たちの言葉だということに気付いて欲しいと心から願います。

また、早期から相馬市と南相馬市で教育と心理のサポートを続けてきた星槎グループの専門家たちのレポートも読み応えがあります。彼らが行ってきた具体的な取り組みとその結果もぜひ読んでいただきたいと思います。

私も、わずかではありますが、外から訪問した者としてのレポートを寄稿させていただきました。

ぜひ、多くの方に読んでいただきたいと思いますので、知り合いにもお声をかけてください。

 

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