アメリカでの増改築体験:デザインコンセプトで合意する

Techbuiltのオリジナルのパンフレットより

Techbuiltのオリジナルのパンフレットより

20世紀半ば、アメリカではフランク・ロイド・ライトの影響を受けたモダンな建築様式が流行りました。それらが現在「mid-century modernist(ミッドセンチュリー・モダン様式)」つまり20世紀半ばのモダン建築様式と呼ばれています(アメリカのミッドセンチュリー・モダン様式は、ドイツの建築家Walter Gropiusが設立したBauhausなどの影響も受けています)。

1950年代、ハーバード大出身の建築家Carl Kochは、北欧のシンプルな建築物を参考にして、中流家庭の若い夫婦でも広い新築が買えるようにコストを抑えたモダンな建築方法を編み出しました。それがTechbuiltです。Kochは周囲の森林や自然と溶け込めるような場所にTechbuiltのクラスタを作り、それらが今でも全米にいくつも残っています。歴史的地区に指定されたクラスタもあり、そのひとつが私たち夫婦が住んでいる地域です。興味深い偶然ですが、Gropiusの二人目の妻Iseが亡くなったのが、私たちが住むLexington町なのです。

増改築前の外観

増改築前の外観

この家を見つけたのは雪嵐の日曜日でした。それまで何ヶ月も気に入った家が見つからなかったのですが、とうとう不動産業者に任せるのをやめて新聞記事でオープンハウスをはしごすることにしたのです。いくつか家を訪問するうちにだんだん気が滅入り、吹雪も強くなってきたので「あと一軒で終わりにしよう」と決めて来たのがこの家でした。

元々モダニストが大好きな夫は、家に足を踏み入れたとたん、恋におちてしまいました。(私はビクトリア様式のほうが好きだったのですが……)ほかの人に先を越されたくない夫は「遭難するのではないか」と思うほどの嵐の中で不動産業者を探して、購入のオファーをしたのでした。

それほど気に入った家ですが、1958年に建てられた家ですからそろそろ大幅に直す必要が出てきました。当時の技術ではエコロジカルだったのですが、今ではもっとエネルギーを効率よくする必要があります。「窓、壁、床、バスルームを新しくしたい」と思ったのですが、それらをするなら、ほかのこともしたくなります。でも、あまりにも大事業なので手をつけられず、細い部分をあちこち直しているうちに20年が経ってしまいました。

いざ増改築をすると決めたら、明瞭なビジョンが必要です。

日本とは異なり、アメリカの近郊では建築や改築では周囲との調和が求められます。

数年前に改築した近所のTechbuilt

数年前に改築した近所のTechbuilt

ボストンを含むニューイングランド地方はコロニアル、ケープ、ビクトリアといった建築様式が多いのですが、私の周囲はモダン様式の家が立ち並ぶ歴史的な地区です。ですから、家を壊して(例えば)コロニアル様式の新築を建てると周囲の雰囲気を壊すことになります。この様式が好きで越してきた住民が多い地区でそういう身勝手な行動をするのは、好ましいことではありません。それに、元々夫はミッドセンチュリー・モダンが好きなのです。

元々はさほどミッドセンチュリーのファンではなかった私も、木々に囲まれた静けさや、外の自然を家の内部に取り込むスタイルが好きになってきました。何よりも、ジョギングをする近くの森から離れたくありません。

「増改築では周囲との調和を壊さない建築様式にする」、というのは最初から私たち夫婦がすんなりと合意したことでした。

問題は、元々のミッドセンチュリー・モダン様式をどれだけ忠実に再現するか、ということです。

私たちの意見は、当初ここでずいぶんすれ違いました。

(続く)

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