私自身も、ツイッターがまだこれほど広まっていなかったころに『ゆるく、自由に、そして有意義に』というツイッター術の本を出したこともあり、海外でSNSについて語ったり、指導したりすることがあります。
海外の企業の経営者やマーケティング専門家たちからは、「日本のソーシャルメディアの使い方は、英語圏とは違うのですか?」とよく質問されます。
私の答えは、「大いにあります。日本の使い方は非常にユニークです」。そして、彼らの次の質問は「じゃあ、どこが違うのですか?」です。
まず、英語のツイッターと日本語のツイッターでは、ひとつのツイートで書き込めることの量に違いがあります。アルファベット140字だけで表現できることには限りがありますが、日本語の140文字だと、うまく表現すれば短編くらいの内容を盛り込めます。
それだけでなく、ツイッターを利用して集団で盛り上がることや、拡散しやすい内容などは、日本独自の文化です。
そういったことを説明しても、なかなか彼らはピンと来ません。それがもどかしかったのですが、ビジネスライターの崎谷実穂さんが書かれた『Twitter カンバセーション・マーケティング ビジネスを成功に導く”会話”の正体』を読んで、「これだ!」と思いました。
私が、これまで語ってきたことが、この本の中に見事にまとめられていたのです。
しかも、数字の裏付けや、グローバル企業の日本法人での成功例が載っています。
日本の企業の参考にはもちろんなりますが、この本を一番ありがたく感じるのは、日本に進出したい、あるいはすでに進出しているけれど、SNSを使ったマーケティングに悩んでいるグローバル企業だと思うのです。
「日本のソーシャルメディアの使い方についてレクチャーしてほしい」と私に依頼していたひとりが、「インバウンド・マーケティング(Inbound Marketing、アジア諸国からの観光客呼び寄せではありません)」というコンセプトを生み出したHubSpot社のCEOであるブライアン・ハリガンです。
ブライアンが、ちょうど日本法人開設で東京を訪問していたので、「私が語ってきたことが全部書いてある本があるよ」と著者の崎谷さんを紹介しました。ついでに「この本欲しい?」とたずねたら、「ほしい!」というのでプレゼントしました。

『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』の共著者ブライアン・ハリガン(左端)とデイヴィッド・ミーアマン・スコット(右端)。中央は崎谷美穂さん。
ブライアン自身は日本語を読めないので、そのうち私が翻訳してあげることになると思うのですが、需要は大きいと思うので、ぜひ英語での翻訳出版をしていただきたいです。