ソーシャルメディアの限界を忘れないようにしよう

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ガーディアン紙より

大きな事件が起きる。

人々はそれに対して、自分の体験や信念をもとに強い感情を抱く。

それを表現し、多くの人と分かち合いたくなる。

そこで、ソーシャルメディアにあらゆる意見があふれる。

問題は、「すべての人が同じ考え方を持つわけではない」ということだ。

生まれ育った環境、現在暮らしている場所、実体験、仕事の内容、周囲にいる人の考え方により、人の考え方は変わる。

どんなに尊敬する人であっても、自分とは違うのだから、異なる考え方をして当然だ。

意見はいろいろあっていいと思う。

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ネットが奪った、『失敗から学ぶ』貴重な機会

ソーシャルメディアやブログのおかげで、人々は自分が直接関わる小さな社会を超えて、いろいろな人と繋がることができるようになった。

私自身がツイッターやフェイスブックの繋がりから数多くの恩恵を受けているので、インターネットの普及は歓迎している。MacBookやiPhoneがなかった時代のことなんか、もう思い出せないほど頼りきってもいる。

なんでもそうだが、新しい便利なものには困ったこともオマケとしてついてくる。「それはいりません」と断りたいところだが、セットなので仕方がない。

インターネットの困ったオマケは、姿が見えない無数の相手からの中傷や誹謗だ。ある本のレビューにも書いたが、「他人を血祭りにあげたい」という心理が、ネットによって拡大している感じがある。

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下半身デブだって、前向きなのだぞ

ソーシャルメディアで見かけた、「下半身太りと決別する8つの秘策」という記事を読んでひとこと書きたくなりました。

その記事の前置きにこうあります

上半身は華奢なのに、下半身がどっしり立派な日本人特有の洋ナシ体型。実は体質だけではなく、よかれと思って続けるトレーニングや生活習慣、心に沈殿するマイナス感情も下半身肥大を助長させる要因に。すっきりシュッとした下半身を取り戻すための、目からウロコの秘策をボディ作りのプロフェッショナルが指南します。

「心に沈殿するマイナス感情が下半身肥大を増長」

とか

怒りを溜め込む人は、肝臓や胆のうが弱く脚の外側が張りやすく、考えすぎる真面目な人や欲求不満の人は胃や腸の調子を崩し、脚の前側が太くなる。」

とか

どこにそんなデータがあるんでしょうか?

そんな決めつけ、すんごく失礼だと思うのですが。

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King and Iのミュージカルで再確認した「嫌な気分を切り替える」大切さ

昨日6月7日にトニー賞の授賞式があった。

5月29日にニューヨークに住んでいる娘と一緒に『King and I』を観に行ったので、このミュージカルがリバイバル作品賞、主演女優賞、助演女優賞などを取ったのはすごく嬉しかった。日本では「渡辺謙さんが主演男優賞を逃した」という話題のほうが注目されているようだが、彼も歌唱力などの点で受賞は期待していなかっただろう。ノミネートされただけでも素晴らしいし、共演者たちを受賞させる素晴らしい助っ人になったことに誇りを抱いていると思う。

ミュージカルKing and I

ミュージカル『King and I』

帰省中の娘と一緒に、ワインとチーズでそんなことを語りながら観られたのも最高だった。

『King and I』はリバイバルが決まったときから観たいと思っていたので、けっこう大枚をはたいて舞台に近い席をゲットした。 Continue reading

目が悪くなることの利点

写真はパブリックドメイン

写真はパブリックドメイン

20代前半まで、視力検査の線より数歩後ろに下がっても一番下までくっきりと見えるほどの視力だった。

なので、「目が見えない」ことの悩みというのがちっともわからなかったのだけれど、20代後半に仕事でコンピュータを使うようになって突然視力が低下しはじめた。

今はアメリカ在住なので(計測の仕方がちがうから)日本でいう視力は不明なのだけれど、ともかく見えない。本を読み過ぎると、夕方には視界が二重どころか五重くらいになって眼鏡をかけても物の輪郭がわからない。

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アメリカでの増改築体験:建築家を選ぶ

夫は、出張からもどったばかりの週末でも午前3時か4時に起床してメールをチェックし、エクササイズをしてから8時にはオフィスに入るワーカホリックです。

ジョーが共同経営する設計事務所がデザインした病院

ジョーが共同経営する設計事務所C/W Design Groupが設計した病院の例

夫が出勤する時間にはオフィスビルはまだ静かなのですが、夫のオフィスの向かいにある建築事務所では既に誰かが出勤しています。
「人数が多い事務所じゃないのに、早朝でも、夜中でも、必ず電気がついていて、誰かが働いている」と夫は感心していました。

そのうちに夫は建築事務所の共同経営者のジョーゼフ・ウェルチさん(ジョー)と知り合い、「性格がとてもいい人。君も会ったら気に入るよ」と語るようになりました。

ジョーが共同経営しているC/W Design Groupは病院の設計が専門で、この分野では30年以上のキャリアだということです。夫がオフィスビルで唯一お喋りを楽しむ「隣人」だったのに、事務所の成長でオフィス空間が狭くなり、ジョーは別のオフィスビルに引っ越ししてしまいました。

「これほど忙しくて急成長しているということは、仕事ができるという証拠。とても気立てがいい人だから、家を増改築するとしたら彼に設計を頼みたい」そう夫は言っていました。

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アメリカでの増改築体験:夫婦間のネゴシエーション

前にも書きましたが、アメリカでの自宅増改築は、家の持ち主が関わる範囲が大きいのが特徴です。

私にはそのプロセスがまったく想像できなかったのですが、増改築を体験した人たちと会って話を聞くうちに、少しずつ見えてきました。これは、情報を得るだけでなく、根本的に重要なステップでした。

その中でもアンとスティーブというご夫婦が一番大切なことを教えてくれました。

"Walter Gropius photo Gropius house Lincoln MA" by Jack E. Boucher - Library of Congress

“Walter Gropius photo Gropius house Lincoln MA” by Jack E. Boucher – Library of Congress

二人は、ワシントンDCの近郊でミッドセンチュリー・モダン様式の自宅を改築し、建築雑誌の特集に取り上げられたことがあります。けれども、それを楽しむ暇もなく、北部に引っ越しすることになったのでした。
その二人と一緒に、私たち夫婦は遠足とランチを計画しました。遠足は、前号で触れたドイツ人建築家Gropiusが暮らした家「Gropius House」の訪問です。

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アメリカでの増改築体験:デザインコンセプトで合意する

Techbuiltのオリジナルのパンフレットより

Techbuiltのオリジナルのパンフレットより

20世紀半ば、アメリカではフランク・ロイド・ライトの影響を受けたモダンな建築様式が流行りました。それらが現在「mid-century modernist(ミッドセンチュリー・モダン様式)」つまり20世紀半ばのモダン建築様式と呼ばれています(アメリカのミッドセンチュリー・モダン様式は、ドイツの建築家Walter Gropiusが設立したBauhausなどの影響も受けています)。

1950年代、ハーバード大出身の建築家Carl Kochは、北欧のシンプルな建築物を参考にして、中流家庭の若い夫婦でも広い新築が買えるようにコストを抑えたモダンな建築方法を編み出しました。それがTechbuiltです。Kochは周囲の森林や自然と溶け込めるような場所にTechbuiltのクラスタを作り、それらが今でも全米にいくつも残っています。歴史的地区に指定されたクラスタもあり、そのひとつが私たち夫婦が住んでいる地域です。興味深い偶然ですが、Gropiusの二人目の妻Iseが亡くなったのが、私たちが住むLexington町なのです。

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アメリカでの増改築体験:最初に考えなければならないこと

今年わが家の増改築をすることになりました。

日本では「リフォーム会社」に依頼して希望を伝え、詳細にはあまり関わらないのが一般的だと思います。けれども、アメリカ合衆国では依頼人(家の持ち主)が相当関わらなければなりません。また、どれほど関わるのかもケースバイケースです。

私にとっても初めての経験なので、何もかもが新鮮です。せっかくの貴重な体験なので、ブログでその経過をご報告していこうと思います。

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